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金融機関の融資・リスケ審査

信用格付、債務者区分、債権分類

 金融機関では、こうした審査と並んで、信用格付、債務者区分、債権分類という作業も行われます。
 既存の取引先債務者企業であれば、融資やリスケ要請の前からすでに信用格付付与、債務者区分、債権分類がなされています。
 信用格付とは、上記のような財務諸表や事業計画、経営改善計画等の審査の結果、当該企業の債務償還能力(信用力)を行内の格付基準によって振り分けるというものです。
 各金融機関の格付基準は非公表ですが、おおむね、1格から10数格程度に振り分けられていると考えられます。
 その上で、各格付けの上位から、各債務者企業を正常先、要注意先(さらにその他要注意先と要管理先に区分)、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先にさらに振り分けます。
 これを債務者区分といいます。
 要管理先以下がいわゆる「不良債権」とされます。
 さらに、各債務者区分ごとに、担保・保証等による保全の状況を勘案して、(金融機関からから見た)債権を、非(Ⅰ)分類~Ⅳ分類に整理します。
 これらは、金融庁の「金融検査マニュアル」に基づき金融機関がすべき「自己査定」と呼ばれる作業で、作業の結果は決算報告等で開示し、また金融庁の金融検査によってチェックされます。
 あくまで金融庁と金融機関の間のことですから、債務者企業には直接の関係はありません。
 しかし実際は、金融機関の債務者企業に対する与信等の対応は、当該企業にいかなる信用格付が付され、いかなる債務者区分、債権分類がなされているかによって大きく左右されます。
 例えば、当該企業が破綻懸念先以下に区分されている場合は、新規の与信を受けることは難しく、むしろ直ちに回収モードに入られてもおかしくないという状況ということになります。
 詳しくは金融検査マニュアル、自己査定
 このように、信用格付、債務者区分、債権分類などの自己査定は、債務者企業にとっても今後の存続を左右する非常に重要なものでありますが、金融機関が、当該企業にどのような格付を付して、債務者区分が何であるかを開示することはまずありません。
 債務者企業としては、自社が金融機関においてどのような位置づけとなっているかを想定したうえで、格付を引き上げ、債務者区分を引き上げることができるような計画を提示し、対策を実行することが重要かつ有効となってきます。
 特に、債務者区分の「その他要注意先」と「要管理先」が大きな分水嶺となります。
 既にリスケを受けている企業は要管理先以下に位置づけられることが多いので、融資や再度のリスケによる支援を受けるためには、正常先もしくはその他要注意先に債務者区分を引き上げる見通しを示す必要があります。
 なお、中小企業金融円滑化法の枠組み等の下では、経営改善計画が策定されている場合や策定の見通しがある場合等の債務者区分の判断基準の緩和措置が施されております。
 詳しくは中小企業金融円滑化法
 なお、「金融検査マニュアル」は約350頁にも及ぶ大部なもので、これを企業が十分に理解することは難しいですし、費用対効果からみて、それをする必要もないでしょう。

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