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Q&A 金融機関取引の基本

融資編

Q9

 Q8の債権譲渡をした金融機関に対して預金を持っていました。譲渡された借入金と相殺できないでしょうか。

A9

 本件のような相殺を「抗弁」といい、債権者の請求を斥ける効果があります。
 貸付債権が譲渡された場合でも、本件のように債権譲渡通知がされたにとどまるときは、債務者は相殺を主張することができます(民法468条2項)。
 しかし、本件の場合と異なり、例えば、金融機関から債権譲渡について承諾を求められ、それに対して当社が、「相殺を主張する」などという異議を述べずに承諾をした場合には、その後相殺を主張できなくなりますので、注意が必要です(同条1項)。
 このような承諾を、「異議をとどめない承諾」といいます。
 したがって、もし仮に金融機関から債権譲渡の承諾を求められたときは、承諾を拒否するか、承諾するとしても上記のような異議をとどめた承諾とすべきであり、異議をとどめない承諾はしてはいけません。
 ちなみにこの抗弁は、相殺に限りません。
 すでに弁済しているとか、貸付債権は消滅時効にかかっているとか、債務免除を受けているとか、いろいろとありえます(なお、こうした抗弁は、債権譲渡通知を受けるまでに生じていることが必要です)。
 異議をとどめない承諾をしてしまうと、こうした抗弁をすべて放棄してしまうことになります。
 以上から、本件の場合は、仮に債権譲受人から貸金返済の請求を受けたとしても、すでに金融機関に対して有していた預金と相殺することにより、その分の返済を免れることができます(相殺の要件を充たし手続をすることは必要です)。
 相殺の要件や手続については、Q6をご参照ください。