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Q&A 金融機関取引の基本

融資編

Q12

 Q8の通知書と同時に、同金融機関から別の先に債権を譲渡したとの通知書も届きました。両方の通知書ともに確定日付がありました。今後どうすればよいでしょうか。

A12

 法律上、債権者は原則として債権を自由に譲渡できます(民法466条1項本文)。
 したがって、金融機関も原則として貸付債権を自由に譲渡できます。
 そして、債権者は複数人に対して同じ債権を譲渡することができます。
 金融機関が同一の貸付債権を複数に譲渡するということ(債権の二重譲渡といいます)は通常考えられませんが、以前破綻した金融機関が破綻の直前に債権の二重譲渡をしていたことが実際にありましたので、一応取り上げておきます。
 ここは少しわかりにくいところですので、簡単に説明します。
 債権譲渡とは債権の売買です。
 売買は売主と買主の合意のみで成立し(同法555条)、売主が売買目的物の所有権を有しているかどうかは問題になりません。
 そのため、上記のような、複数に対する債権譲渡ができてしまいます。
 しかし、譲渡される債権は1つですので、どの譲受人がその債権を取得できるかを決めなければなりません。
 これを決めるのは、法律上、早いもの勝ちではなく、第三者対抗要件具備の有無及び先後によって決することとしています(同法467条)。
 この第三者対抗要件具備とは、具体的には、確定日付のある証書による債権譲渡通知をいいます(同条2項)。
 確定日付は、公証人役場で1通700円で付けてもらうことができます。
 (動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律(いわゆる動産・債権譲渡特例法)4条1項に基づく債権譲渡登記によってもこの第三者対抗要件具備をすることはできますが、ここでは省略します。)
 そして、両方ともに確定日付のある債権譲渡通知が到達したときは、確定日付のある証書による債権譲渡通知の債務者への到達時の先後により決します(最高裁昭和49年3月7日判決)。
 確定日付の日付の先後ではありません。
 では、本件のように、両方とも確定日付のある債権譲渡通知が同時に到達したときは、どのように決せられるのでしょうか。
 この場合は、通知書の到達の先後により決せられないので、第一譲受人(A社とします)と第二譲受人(B社とします)はともに互いに自らが優先すべきことを主張できません。
 しかし、債務者との関係では、A社もB社も自らが譲受人であるとして返済を請求できることになります(最高裁昭和55年1月11日判決)。
 もっとも、債務者が両者に弁済しなければならないわけではもちろんなく、どちらか一方に弁済をすればそれは有効なものとして貸付債権が消滅し、他方へは弁済をしなくてよいことになります。
 また、この場合債務者は、債権者不確知を理由として弁済金を供託することもでき、それにより債務を免れることができます(民法494条後段)。
 なお、A社とB社は、この供託金の還付請求権を巡り争うことになりますが、判例は、両者は互いに自己が優先的地位にある債権者であると主張することが許されない関係に立つとして、譲受債権額で供託金額を按分した額の供託金還付請求権をそれぞれ分割取得するとしました(最高裁平成5年3月30日判決)。