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Q&A 金融機関取引の基本

担保編

Q9

 当社は、Q6のビルのテナントで、賃貸人と直接賃貸借契約を締結しています。当社はビル賃貸人に対し運転資金を貸し付けたのですが、期限になっても返済を受けていません。Q6の金融機関から賃料に対して抵当権に基づく物上代位の差押をされたのですが、運転資金と賃料を相殺することはできないでしょうか。

A9

 抵当権に基づく物上代位の差押えの手続については、Q6をご参照ください。
 本件は、抵当権に基づく物上代位と相殺の問題です。
 最高裁はこの問題について、「抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗できない」としました(最高裁平成13年3月13日判決)。
 したがって、運転資金の貸付けが、抵当権設定登記より前ならば相殺を主張できますが、抵当権設定登記より後ならば相殺を主張できないことになります。
 なお、上記判決は「物上代位権の行使としての差押えのされる前においては、賃借人のする相殺は何ら制限されるものではない」ともしており、運転資金の貸付けが抵当権設定登記後の場合でも、物上代位の差押の前に相殺をしていれば、それは相殺として有効になるものと考えられます(反対説もあります)。