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Q&A 金融機関取引の基本

担保編

Q8

 当社は、Q6のビル賃貸人のグループ会社です。ビル賃貸人からビルを賃貸し、テナントに転貸して転貸料収入を得ています。Q6の金融機関は、この転貸料に対しても抵当権に基づく物上代位の差押をすることができるのでしょうか。

A8

 抵当権に基づく物上代位の差押えの手続については、Q6をご参照ください。
 本件は、抵当権に基づく物上代位が転貸料にも及ぶかの問題です。
 最高裁はこの問題について、「民法372条によって抵当権に準用される同法304条1項に規定する「債務者」には、原則として、抵当不動産の賃借人(転貸人)は含まれないものと解すべきである」として、原則として転貸賃料債権に対する抵当権に基づく物上代位を否定しました(最高裁平成12年4月14日判決)。
 もっとも同判決は、「抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合には、その賃借人が取得すべき転貸賃料債権に対して抵当権に基づく物上代位権を行使することを許すべき」であるとし、例外的に物上代位が認められる場合があるとしました。
 そして、この場合として、「所有者の取得すべき賃料を減少させ、又は抵当権の行使を妨げるために、法人格を濫用し、又は賃貸借に仮装した上で、転貸借関係を作出したものであるなど」の場合が挙げられています。
 本件でも、こうした事情を考慮して、当社のテナントに対する転貸賃料に抵当権の物上代位が及ぶかどうかが判断されることになります。