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Q&A 金融機関取引の基本

担保編

Q7

 当社は、Q6のビル賃貸人から賃料債権を譲り受け、債権譲渡登記を経ました。その後、Q6の金融機関から抵当権に基づく物上代位の差押がなされましたが、この場合、当社は賃料債権を回収することはできるのでしょうか。

A7

 抵当権に基づく物上代位の差押えの手続については、Q6をご参照ください。
 本件は、抵当権に基づく物上代位と債権譲渡の優劣の問題です。
 最高裁はこの問題について、「抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる」とし、抵当権に基づく物上代位が優先するとました(最高裁平成10年1月30日判決)。
 債権譲受人としては、債権譲渡登記により第三者対抗要件具備までしたのに、この結論は厳しいものがありますが、債権譲受の前に不動産の登記事項証明書を見ればすでに抵当権が設定登記されていることは分かり(登記による公示といいます)、物上代位も予測できたわけですから、保護に値しないとされたものと考えられます。
 なお、上記判決は「民法304条1項ただし書が、抵当権者が物上代位権を行使するには払渡し又は引渡しの前に差し押さえることを要するとした趣旨は、第三債務者が設定者に弁済しても弁済による目的再建の消滅の効果を抵当権者に対抗できなくなるという不安定な地位に置かれる可能性があり、二重弁済を強いられるという危険から第三債務者を保護する点にある。」としています。
 この趣旨からすれば、もし当社が債権譲渡登記を経たうえで、物上代位の差押の前に、債権譲渡に係る登記事項証明書を第三債務者(ここではビル賃借人)に対して交付して第三債務者対抗要件も具備していれば(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律(いわゆる動産・債権譲渡特例法)4条2項、民法467条1項)、債権譲渡の方が優先すると考えられ、少なくとも物上代位の差押前に賃借人が債権譲受人に賃料を支払っていたら、それは賃料弁済として有効でしょう。