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Q&A 金融機関取引の基本

担保編

Q20

 当社が賃借して入居しているビルの抵当権者である金融機関から、ビルを明渡すよう求められました。金融機関に明渡さなければならないのでしょうか。

Q20

 かつて判例は、このような抵当権に基づく妨害排除請求を否定していました(最高裁平成3年3月22日判決)。
 しかし、その後判例が変更され、現在は一定の要件の下で認められるようになりました。
 具体的には、「所有者以外の第三者が抵当不動産を不法占有することにより、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ、抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、占有者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求として、上記状態の排除を求めることができる」、「そして、抵当権設定登記後に抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けてこれを占有する者についても、その占有権原の設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ、その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、当該占有者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求として、上記状態の排除を求めることができる」、「抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には、抵当権者は、占有者に対し、直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができる」としました(最高裁平成17年3月10日判決)。
 ちなみにこの判例の事案は、賃貸人と賃借人がグループ会社のような関係で、高額の敷金設定をしつつ、適正賃料を大幅に下回る賃料としたという、典型的な詐害的賃貸借といえるような事案でした。
 本件のような場合でも、こうした裁判規範を踏まえて対応を判断することとなります。