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Q&A 金融機関取引の基本

担保編

Q2

 当社が入居しているビルのオーナーの資金繰りが悪化しているようです。ビルには銀行に対し抵当権が設定されているようですが、もし抵当権が実行された場合、入居している当社はどうなるのでしょうか。

A2

 ビルのオーナーが銀行に延滞した場合は、Q&A 金融機関取引の基本 担保編Q1で説明したとおり、銀行は抵当権を実行することができます。
 抵当権実行によりビルが競売に付され、第三者が競落してビルの所有権を取得して登記した場合、その新ビルオーナーから立退きを求められれば、入居者は原則として立ち退かなければなりません。
 例外的に、入居者が入居して占有を開始した時が、抵当権設定登記の時よりも先であれば、入居者の賃借権は新ビルオーナーに対抗でき、立退きをしないで済みます(民法177条、借地借家法31条1項)。
 もっとも、貸ビルの抵当権は、通常当初のビル建設時に設定されているので、このような例外的な場合は少ないと思われます。
 入居者が立退きをしなければならない場合でも、新ビルオーナーの競落時から6か月を経過するまでは立退きが猶予され、引き続き入居し続けることができます(民法395条1項)。
 この場合は、新ビルオーナーに賃料相当額の支払いをしなければならず、催告がされたのに相当の期間内に支払いをしない場合は、直ちに立ち退かなければならなくなります(同条2項)。
 直ちに立ち退かなければならなくなる、ということは、新ビルオーナーから立退きを訴える裁判を起こされた場合には敗訴し、国の執行機関により強制的に立退きをさせられることを意味します。
 したがって、入居者はこの6か月の猶予期間の間に移転先を見つける必要があります。
 他方、本件のような貸ビルの場合は、新ビルオーナーが引き続き現状のテナント構成のままビル経営を続けようとする場合があります。
 その場合は、新ビルオーナーと新たに賃貸借契約を締結して引き続き入居するということも可能となります。