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Q&A 金融機関取引の基本

担保編

Q17

 金融機関への借入金を返済できないと、譲渡担保権を設定している機械設備はどうなるのでしょうか。

Q17

 その場合、金融機関は譲渡担保権を行使して債権を回収することができます。
 もっとも、譲渡担保権は法律上定められていない担保権(非典型担保)で、実行方法も法定されていません。
 そこで金融機関は、担保権設定者(当社)から任意の承諾を得た上で機械設備を搬出し売却して、その代金から債権の回収を図ります(私的実行といいます)。
 もし設定者が承諾しない場合はこの私的実行の方法はとれません。
 この場合にもし金融機関が無理矢理機械設備を搬出すると、建造物侵入罪(刑法130条前段)や窃盗罪(同法235条)などに問われる能性があります(最高裁平成元年7月7日判決)。
 そこで金融機関は、所有権に基づく機械設備の引渡しを求めて設定者に対し動産引渡請求訴訟を提起します。
 譲渡担保権の設定は所有権の移転の形式をとりますが、完全に移転するわけではなく、譲渡担保権者は清算義務を負うことになります(最高裁昭和46年3月25日)。
 例えば、1億円の借り入れをするのに1億5000万円の機械設備に譲渡担保権を設定した場合、譲渡担保権者はこの機械設備の所有権を丸どりできるわけではなく、実行した場合には差額5000万円を設定者に清算して返還すべき義務を負うことになります。
 そこで、上記訴訟では通常、「被告(担保権設定者)は、原告(譲渡担保権者)が清算金を支払うのと引き換えに機械設備を引き渡せ」といった判決(引換給付判決といいます)が下されることになります。
 譲渡担保権者が清算金を提供することにより機械設備の引渡しの強制執行が開始されます。
 また金融機関は、上記訴訟提起前に動産引渡請求権を保全するため、裁判所に占有移転禁止の仮処分や動産引渡の仮処分(民事保全法23条1項)を申し立てることがあります。