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Q&A 金融機関取引の基本

担保編

Q15

 Q11の場合で、地上建物の所有者が第三者に同建物を賃貸して引き渡そうとしています。この場合でも、建物収去土地明渡の強制執行をすることができますでしょうか。

Q15

 地上建物の賃貸借が、従前の地上建物所有者に対する建物収去土地明渡請求訴訟の事実審の口頭弁論終結時より後であれば、勝訴判決の効力(既判力、執行力)は地上建物の賃借人に対しても及ぶことになり(民事訴訟法115条1項3号、民事執行法23条1項3号)、同人を相手に強制執行をすることはできます。
 しかし、地上建物の賃貸借が、上記訴訟の事実審の口頭弁論終結時より前であれば、同訴訟の勝訴判決の効力は地上建物の賃借人に及ばず、同人を相手に強制執行をすることはできません。
 この場合は、改めて地上建物の賃借人を相手に建物退去土地明渡請求訴訟を提起しなければならないことになります。
 しかしこれでは土地所有者の負担があまりに大きいので、賃借人に対する強制執行を確保するために仮処分という方法が認められています。
 具体的には、裁判所に地上建物の占有移転禁止の仮処分を申し立てます(民事保全法23条1項)。
 同仮処分が発令・執行されると、地上建物の所有者(現占有者)に対しその占有を移転することを禁止し(占有移転禁止命令)、その占有を解いて執行官に引き渡すべきことを命じ(引渡命令)、執行官が同建物を保管し(保管命令)、これらの旨を公示させる(公示命令)こととなります(同法25条の2第1項参照)。
 以上により、土地所有者たる競落人は、地上建物所有者(現占有者)に対する建物収去土地明渡請求訴訟の勝訴判決を債務名義として、上記仮処分執行後の賃借人に対し強制執行をすることができます(同法62条1項)。
 なお、建物収去土地明渡の執行手続については、Q11をご参照ください。