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Q&A 金融機関取引の基本

事業再生・倒産編

Q4

 私的整理による事業再生のため100%減資をしたいのですが、どのような手続が必要でしょうか。

A4

 まず、全部取得条項付種類株式という株式を発行する必要があります。
 全部取得条項付種類株式とは、会社が株主総会の特別決議によりその種類の株式の全部を取得することができるという内容の種類株式をいいます(会社法108条1項7号)。
 そして、全部取得条項付種類株式を発行するためには、種類株式を発行する旨の定款変更のための株主総会決議と、既発行の(普通)株式に全部取得条項を付する旨の定款変更のための株主総会決議が必要となり、取得対価の価額の決定の方法も定款で定める必要があります(同条2項7号)。
 この株主総会決議は、特別決議による必要があります(同法466条、309条2項11号)。
 次に、全部取得条項付種類株式を取得するための株主総会決議が必要となります(同法171条1項)。
 この決議においては、取得の対価についての事項(取得対価が株式の場合はその種類及び数等)、株主に対する取得対価の割当てに関する事項及び取得日を定めることが必要となります(同条項1ないし3号)。
 この株主総会決議も、特別決議による必要があります(同法309条2項3号)。
 全部取得条項付種類株式の取得の対価は、その帳簿価額の総額が、取得日における分配可能額を超えてはならないという財源規制があるので(同法461条1項4号)、私的整理をするような債務超過会社の場合は、対価は無償ということになります。
 なお、取締役は、この株主総会において、全部取得条項付種類株式の全部を取得することを必要とする理由を説明しなければなりません(同法171条3項)。
 以上の各株主総会決議は同日に行うことができ、それにより100%減資が可能となります。
 その上で、新スポンサーに対する第三者割当増資の決議をすることになります。
 決議すべき内容は、募集株式の数、払込金額又はその算定方法、現物出資の場合はその旨・財産の内容・価額、払込期日又は期間、増加する資本金及び資本準備金に関する事項(これらを募集事項といいます)です(同法199条1項)。
 この決議は、非公開会社(全株式につき譲渡制限が付されている会社)の場合は株主総会特別決議により(同条2項、309条2項5号。取締役(会)に委任も可(200条1項))、公開会社(発行する株式の全部又は一部の株式につき譲渡制限が付されていない会社。同法2条5号)の場合は取締役会決議により(同法201条1項)、行います。
 ただし、公開会社の場合でも、有利発行の場合は、原則通り、株主総会特別決議による必要があります(同法201条1項、199条3項)。
 その上で、公開会社の場合は、払込期日の2週間前までに、上記募集事項を株主に対し通知又は公告します(同法201条3・4項)。
 次に会社は、募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、株式会社の商号、募集事項、払込取扱金融機関、その他法務省令で定める事項を通知します(同法203条1項)。
 この募集に応じて募集株式の引受けの申込みをする者(新スポンサー)は、氏名又は名称及び住所、引き受けようとする募集株式の数を記載した書面を会社に交付します(同条2・3項)。
 会社は、割り当てる募集株式の数を定め、申込者(新スポンサー)に通知します(同法204条)。
 これにより申込者(新スポンサー)は募集株式の引受人となり(同法206条)、払込期日又は期間内に払込取扱金融機関において払込金額の全額を払い込み(同法208条1項)、株主となります(同法209条)。
 なお、公開会社における第三者割当増資の決議については、現在法制審議会において規制を強化する方向の会社法改正の議論がなされています。
 方向性としては、引受人が議決権の過半数を有することとなるような場合には株主総会決議を要するというものです(法務省民事局参事官室「会社法制の見直しに関する中間試案」6頁)。
 この会社法改正についても今後注意が必要です。