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Q&A 金融機関取引の基本

保証編

Q7

 事業承継により経営を退くのですが、社長として提供していた個人保証はどうなるのでしょうか。

A7

 債務保証は、金融機関との間の保証契約により成立します(Q1ご参照)。
 したがって、たとえ事業承継により経営者を退くとしても、それにより直ちに保証人から脱退できるわけではありません。
 金融機関に保証人脱退を申し入れて承諾をしてもらうことが必要となります。
 その時に、会社の業容も拡大し、業況も順調で財務状況や信用力に問題がないと判断されれば、単なる保証人脱退に応じてくれる可能性はあります。
 そうでない場合には、新経営者を新たな保証人とすることが必要となる可能性が高くなります。
 その場合は、債権者たる金融機関、主債務者たる会社、旧保証人、新保証人で保証人変更契約を締結します。
 これにより旧保証人は保証から脱退することになります。
 なお、以前は包括根保証契約というものがありました。
 包括根保証契約とは、保証期間や保証限度額の定めのない保証契約です。
 包括根保証契約については、判例上、保証後相当の期間が経過したときは将来に向かって契約を解約することができるとされています(大審院昭和7年12月17日判決)。
 これを任意解約権などと呼びます。
 さらに判例は、保証後に債務者の資産状態が著しく悪化したような場合には、相当の期間が経過したか否かにかかわらず、保証人は直ちに解約することができるとしました(大審院昭和9年2月27日判決)。
 これを特別解約権などと呼びます。
 最高裁も、「主債務者に対する信頼が害されるに至った等保証人として解約申入れをするにつき相当の理由がある場合は、右解約により相手方が信義則上看過しえない損害をこうむるとかの特段の事情がある場合を除き、一方的にこれを解約しうる」(最高裁昭和39年12月18日判決)として、保証人からの一方的解約の要件を示しました。
 なお、平成16年民法改正により、平成17年4月1日以降に締結される個人保証人の場合の主債務が貸金債務である根保証契約については、極度額の定めがなければ無効とされ(民法465条の2)、存続期間についても長くて5年(元本確定期日が根保証契約締結後5年経過後の場合は無効、元本確定期日の定めがない場合は3年経過時に確定)とすることとされました(同法465条の3)。
 この要件を充たす根保証契約を、貸金等根保証契約といいます。
 貸金等根保証契約では、債権者が主債務者又は保証人の財産について強制執行又は担保権実行を申し立てたとき、主債務者又は保証人が破産手続開始決定を受けたとき、主債務者又は保証人が死亡したとき、のいずれかの場合にも元本が確定します(同法465条の4。元本確定事由)。