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Q&A 金融機関取引の基本

保証編

Q6

 信用保証協会の保証付きの借入金の約定返済を延滞しましたが、どうなるのでしょうか。

A6

 信用保証協会とは、信用保証協会法という法律に基づき各県に設立されている機関で、中小企業等の金融機関からの借入債務の保証をすること等を主たる業として中小企業等の金融の円滑化を図ることとされています。
 創業初期や物的担保がない場合などに金融機関に借入を申し込んだ際には、保証協会の保証を付けることを条件とされることが多いので、利用している企業は相当多いです。
 金融機関から保証協会保証付き融資を受ける場合の法律関係は、金融機関と債務者企業の間は金銭消費貸借契約、金融機関と保証協会の間は保証契約、債務者企業と保証協会の間は保証委託契約、という関係となります。
 この3者間の関係の原則は民法上の関係と同じですので、Q&A 金融機関取引の基本 保証編Q1もご参照ください。
 通常の保証の場合は、主債務者が借入金の約定返済を延滞した場合は、銀行取引約定書(銀取約定)上、請求による期限の利益の喪失事由となり、金融機関の判断により同請求がなされれば、以後残債権全額について債権回収に進んでいくということになります(Q&A 金融機関取引の基本 融資編Q1Q&A 金融機関取引の基本 保証編Q1ご参照)。
 しかし、保証協会保証の場合は、特約によりこの手順が修正されています。
 すなわち、金融機関と保証協会の間の保証契約書によれば、「第●条 金融機関は・・・債務履行を困難とする事実を予見し、又は認知したときは、遅滞なく保証協会に通知し、かつ適当な措置を講じるものとする」などと規定されており、金融機関は期限の利益の喪失請求につき保証協会と事前に協議することになります。
 そのうえで、「第●条 金融機関は、被保証債権について債務者に対し期限の利益を喪失せしめたときは、直ちに保証協会に通知するものとする」などとされています。
 そして、「第●条 保証協会は、被保証債権について債務者が最終履行期限(期限の利益喪失の日を含む)後90日を経てもなお、その債務の全部又は一部を履行しなかったときは、金融機関の請求により金融機関に対し保証債務の履行をなすものとする」などと規定されております。
 したがって、約定返済を延滞して金融機関から残借入金について期限の利益の喪失請求がなされた場合でも、その後90日間に債務の全部又は一部を弁済すれば、保証協会による代位弁済はなされないこととなります。
 この90日の期間を冷却期間などと呼びます。
 90日経過後に保証協会により代位弁済がなされた場合には、保証協会が求償権を取得するとともに、金融機関が有していた原債権及び担保権を代位により取得することになります。
 保証協会が全額を代位弁済した場合は、以後保証協会が新たな債権者となり、一部を代位弁済した場合は、保証協会とともに金融機関も債権者として残る形になります。
 この場合の法律関係については基本的にQ5と同様ですので(通常の保証の場合の特約が当てはまらないことはありますが)、適宜ご参照ください。