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Q&A 金融機関取引の基本

保証編

Q5

 私は会社の借入金について連帯保証をしております。会社にかわって借入金の一部を支払った場合、どうなるのでしょうか。

A5

 まず、法律上の原則について説明します。
 保証人が主債務者にかわって弁済をしたときは、主債務者に対して求償権を取得します(民法459条)。
 そして、保証人は弁済によって当然に債権者に代位します(同法500条)。
 代位した保証人は、求償権の範囲内で債権者が有していた一切の権利を行使することができます(同法501条)。
 これは、「代位弁済者の債務者に対する求償権を確保するために、法の規定によって弁済により消滅するはずの原債権及び担保権を代位弁済者に移転させ、代位弁済者が求償権の範囲内で原債権及び担保権を行使することを認める制度である」(最高裁昭和59年5月29日判決)とされています。
 その結果、弁済した保証人は、債務者に対し求償権と原債権及び担保権の双方を取得することになります。
 もっとも、「原債権と求償権は別異の債権だが、代位弁済者に移転した原債権及びその担保権は、求償権を確保することを目的として存在する付従的な性質を有するので、求償権の存在及びその債権額と離れ、これと独立して行使することはできない」(最高裁昭和61年2月20日判決)とされています。
 その上で、保証人による一部弁済の場合ですが、この場合は保証人は弁済した価額に応じて債権者とともに権利を行使することができます(同法502条1項)。
 例えば、主債務者において1億円の借入金があった場合に、保証人が40百万円を主債務者に代わって弁済したときは、保証人は40百万円の求償権を取得するとともに、代位により40百万円の原債権を、元の債権者(残債権額60百万円)とともに行使することができることになります。
 債権を行使できるとは、期限が到来した場合は担保権の実行により債権回収を図ることができることなどを意味します。
 しかし、そうすると元の債権者としては、望まない時期に担保権の実行をされたり、回収額を代位した保証人と按分しなければならないなど、不都合があります。
 そこで、金融機関との間においては、通常この原則は当事者間の合意により修正されており、この原則通りに処理されることは実際はほとんどないと言ってよいです。
 当事者間の合意とは、融資・保証の際に締結されるや金銭消費貸借契約証書や保証契約書等の各条項をいいます。
 これらの契約書においては、「第●条 保証人がこの保証債務を履行した場合、代位によって貴行から取得した権利は債務者と貴行との取引継続中は、貴行の同意がなければこれを行使しません。もし貴行の請求があれば、その権利または順位を貴行に無償で譲渡します。」などという特約規定が設けられます。
 これにより、上記のような保証人による一部弁済の場合には、保証人は代位により取得した権利の行使を放棄することが合意されます。
 仮にかかる合意がない場合でも、一部代位弁済者が担保権を実行したときは、代金の配当については元の債権者が優先するとされています(最高裁昭和60年5月23日判決)。
 したがって、一部弁済により代位した保証人は、特約や判例により、原債権及び担保権の行使が制限され、行使したとしても配当は元の債権者に劣後する、という地位におかれることになります。