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Q&A 金融機関取引の基本

保証編

Q1

 金融機関から、経営している会社の借入金について保証人となることを求められていますが、保証人になるとどうなりますか。

A1

 まず、法律上の原則から説明します。
 保証人になるということは、金融機関との間で保証契約を締結することをいいます(なお、平成17年4月1日以降は、保証契約は書面でしなければ無効とされています(同法446条2、3項)。)。
 そして、「保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。」(民法446条1項)とされております。
 つまり、主たる債務者である会社が借入金の返済をしないときに、保証人が支払うべき義務が生じます。
 保証すべき債務の範囲は、元本のみならず、「主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する」(同法447条1項)とされております。
 ただ、「保証人の負担が債務の目的又は態様において主たる債務より重いときは、これを主たる債務の限度に減縮する。」(同法448条)とされており、保証人の負担が主債務者の負担を上回ることはありません。
 これを、保証債務の附従性といいます。
 もし、金融機関が会社に対して請求せずに保証人に請求してきた場合は、「保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。」(同法452条)とされており、金融機関がこの催告をするまでは、保証人は支払いを免れます。
 これを「催告の抗弁」といいます。
 また、金融機関が上記催告をした場合でも、「保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。」(同法453条)とされており、金融機関が会社の財産について執行をするまでは、保証人は支払いを免れます。
 これを「検索の抗弁」といいます。
 この催告の抗弁と検索の抗弁を、保証債務の補充性といいます。
 以上が法律上の原則です。
 しかし、金融機関との間においては、通常この原則は当事者間の合意により修正されており、この原則通りに処理されることは実際はほとんどないと言ってよいです。
 当事者間の合意とは、保証契約の際に交わされる保証契約書等の各条項をいいます。
 金融機関との間の保証契約書等では、「保証人は、債務者と連帯して保証債務を負う」旨の条項が必ず入ります。
 この「連帯して」の文言が入ることにより、保証人は「連帯保証人」となります。
 連帯保証人になると、保証人において上記の催告の抗弁と検索の抗弁の権利が失われることになり(同法454条)、金融機関は、主債務者に対する催告や検索をすることなく、主債務の不履行があった場合には直ちに連帯保証人に支払いの請求をすることができることになります。
 支払いの請求をすることができる、ということは、裁判になれば連帯保証人に支払いを命じる判決が出され(主債務や保証債務の不成立、無効・取消し、弁済等による消滅等の事由があれば別ですが)、連帯保証人は直ちに支払う義務を負い、支払えなければその財産から強制的に回収することになることを意味します。
 このように、会社の借入債務について連帯保証人になるということは、経営者個人の全財産を引当にすることになり酷な面がありますが、特に中小企業のオーナー経営者は多くの場合連帯保証人になっていると考えられます。
 金融機関としては、経営者の個人資産からの回収を期待するというよりは、経営者個人にもリスクを負ってもらって適切な会社経営をするよう促すという面があります。
 ある程度会社の業歴を重ね、業容も拡大してきたら、経営者個人の連帯保証を解除してもらうという交渉をする場面も出てくるかと思います。