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金融検査マニュアル・自己査定

償却・引当

 そして、最後に、これらの債務者区分、債権分類に応じて、償却・引当を行います。
 具体的には、正常先及び要注意先に対する債権については、信用格付や債務者区分毎に算定される過去の貸倒実績率又は倒産確率に基づき、将来発生が見込まれる損失率(予想損失率)を求め、信用格付や債務者区分の債権額に予想損失率を乗じて予想損失額を算定し、同額に相当する額を貸倒引当金として計上します。
 これを一般貸倒引当金と言います。
 なお、要注意先のうち要管理先については異なる予想損失率とすることも妥当なものとして認められています。
 さらに、要管理先の大口債務者(与信額100億円以上)については、DCF法という手法に基づき貸倒引当金を計上することが望ましいとされています。
 破綻懸念先については、うちⅢ分類の債権について、個別債務者ごとに予想損失率を乗じて予想損失額を算定し、同額に相当する額を貸倒引当金として計上します。
 これを個別貸倒引当金と言います。
 実質破綻先及び破綻先については、個別債務者毎にⅢ分類とⅣ分類とされた債権額全額を予想損失額として、同額に相当する額を貸倒引当金として計上するか(これも個別貸倒引当金といいます。)、直接償却します。
 上記の一般貸倒引当金や個別貸倒引当金の引当率は銀行によって異なります。
 例えば、あるメガバンク(2012年3月期)では、

正常先に対する引当率0.2%
要注意先に対する引当率19.7%
  うち要管理先を除くその他要注意先6.7%
  うち要管理先の非保全部分62.5%
破綻懸念先のⅢ分類に対する引当率75.8%
実質破綻先及び破綻先のⅢ分類及びⅣ分類に対する引当率100%

 となっております。
 他方、ある地方銀行(2011年3月期)では、

正常先及び要注意先(要管理先を除く)に対する引当率平均0.7%
要管理先の非保全部分に対する引当率55.5%
破綻懸念先のⅢ分類に対する引当率63.0%
実質破綻先及び破綻先のⅢ分類及びⅣ分類に対する引当率100%

 となっております。
 以上から、その他要注意先と要管理先との間で引当率に大きな差があることが分かると思います。
 これは、金融機関にとってみれば、要管理先債権については非保全部分につき50%以上もの貸倒引当金を計上する(=損失計上する)わけですから、要管理先以下の債務者に対する与信は原則として行わない、という判断になるでしょう。
 そこで、債務者企業としては、自社が正常先かその他要注意先にとどまっているか、要管理先以下になっているかが、金融機関から融資等の与信を受けるにあたり重要となってくるのです。
 なお、中小企業については、中小企業金融円滑化法の枠組み等の下で、債務者区分の判断基準についての緩和措置が施されております。
 詳しくは中小企業金融円滑化法

終わりに

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