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法的整理

法的整理と私的整理、清算型と再建型

 企業の法的整理と私的整理は、いずれも一定の債権をカットする内容が含みますが、前者が裁判所の手続きに従って一定の強制力をもってなされるのに対し、後者は当事者間の合意のみによりなされるという違いがあります。
 さらに、法的整理には、清算型と再建型があります。
 清算型とは、破産、特別清算をいい、債務者企業の存続を前提とせず、債務者の財産を処分して、対価としての金銭を債権者に配当することになります。
 再建型には、民事再生と会社更生があります。
 一定の債権をカットしたうえで、債務者企業を存続させてそこから得られる事業収益等から残債務を長期的に回収しようとするものです。
 もっとも、清算型についても、私的整理の第二会社方式スキームにおいて旧会社を破産、特別清算するという形で、事業再生の場面で活用されることも少なくないです。

民事再生と私的整理

 ここでは、中小企業の再建型法的整理として多く活用される民事再生と私的整理の比較の観点から述べてみたいと思います。
 上記の整理からお分かりになりますとおり、民事再生と私的整理は、一定の債権をカットすること、債務者企業ないし事業を存続させて事業収益等から長期的に残債務の弁済をすること、が主な共通点で、一定の強制力をもってなされるか合意のみによりなされるか、が主な相違点です。
 具体的には、民事再生では債権者の多数決により債権カットが決められ、反対した債権者もカットされますが、私的整理では債権者は反対すればカットはなされません。
 したがって、私的整理の方が全債権者の合意を必要とするため成立のハードルが高いです。
 それでも私的整理のニーズが高いのは、①取引債権者も含めた全債権者ではなく銀行などの金融債権者のみをカット対象とできる、②秘密を保持でき風評被害を避けられる、③手続きが簡易でコストも低廉、の3点が大きいと思います。
 ①は、債務者企業の再生可能性と債権者の回収可能性に影響する大きな問題です。
 民事再生は原則として全債権者を対象としますから、銀行など金融機関のほかに、仕入先などの取引債権者も含まれます。
 こうした取引債権者の債権も同じようにカットしてしまうと、以後商品の仕入れに応じてくれなくなったり、現金決済を余儀なくされるなどにより事業の継続が困難になり、かえって事業再生及び債権回収は困難なものとなります。
 もっとも、民事再生法では中小企業の取引債権や少額債権について許可を受けて随時弁済することも認めており、こうした手続きの活用によりかかる弊害を回避・軽減することができます。
 ②については、民事再生の場合はいわゆる「倒産」として公になり、そうしたレッテルの下で様々な風評被害を受けて再生が困難になる場合があります。
 もっとも、民事再生法も施行から10年経ち、相当数の企業で活用されていることもあり、当初に比べれば、再生のための一つの手続きという冷静な受け止め方もなされているように感じます。
 ③については、私的整理についても、近時は中小企業再生支援協議会や企業再生支援機構、事業再生ADRといった第三者機関を活用したスキームが主流になっており、公平性・透明性を確保する一定の手続に従って進められております。
 最近では、金融機関も相次いで再生ファンドを組成しており、こうした仕組みも活用が期待されます。
 以上のとおり、民事再生と私的整理の違いは以前に比べれば少なくなってきており、特に中小企業においては、私的整理の全債権者合意というハードルの高さを考えれば、民事再生を事業再生のための手法として積極的に活用することも検討されてよいと思います。

終わりに

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