元銀行員の弁護士による企業金融 事業再生 コンサルティング

トップページ> 中小企業金融円滑化法>

中小企業金融円滑化法

中小企業に求められる対応

1 中小企業が今後リスケを受けるためには、上記の要件を充たして貸出条件緩和債権とならないことを目指すことになります。
 いくつかの類型に分かれると思いますので、類型ごとに整理してみたいと思います。

すでにリスケを受けている中小企業で、実抜計画を策定していないが、最長1年以内に策定する見込みがあることを理由に貸出条件緩和債権に該当しないとされている場合

 この場合の中小企業は相当多いと思います。この場合は、リスケを受けた日から1年以内に実抜計画を策定する必要があります。
 計画を策定できないまま1年を徒過してしまうと、貸出条件緩和債権に該当して、要管理先に区分されることになる可能性が高いですから、再度のリスケを受けるハードルは高くなると考えられます。
 実抜計画の「実現可能性の高い」とは、①計画の実現に必要な関係者との同意が得られていること、②計画における債権放棄などの支援の額が確定しており、当該計画を超える追加的支援が必要と見込まれる状況でないこと、③計画における売上高、費用及び利益の予測等の想定が十分に厳しいものとなっていることの全ての要件を充たす計画であることをいいます(中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針Ⅲ-4-9-4-3(2)③注1)。
 実抜計画の「抜本的な」とは、前述のとおり、「概ね5年(5年~10年で計画通りに進捗している場合を含む)後に正常先(計画終了後に自助努力により事業の継続性を確保できれば、要注意先であっても差し支えない)」(中小企業向け融資の貸出条件緩和が円滑に行われるための措置)であることをいいます。
 正常先や要注意先については金融検査マニュアル・自己査定2
 中小企業としては、このような「実現可能性の高い」「抜本的な」の要件を充たす実抜計画を策定しなければなりません。

すでに「実抜計画」ないし「合実計画」に沿った金融支援の実施により経営再建が開始されているが、計画の達成状況が芳しくない中小企業の場合

 「実抜計画」の達成状況が芳しくなく、その結果、「実現可能性の高い」及び「抜本的な」の要件を欠くことになり、当該計画に基づく貸出金に対して基準金利が適用される場合と実質的に同等の利回りが確保されていないと見込まれるようになった場合には、当該計画に基づく貸出金は貸出条件緩和債権に該当するとされています(中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針Ⅲ-4-9-4-3(2)③注4)。
 したがって、中小企業としては、引き続きリスケ等の金融支援を受けるためには、計画の達成状況を改善する対策を講じて実行し、「実現可能性の高い」及び「抜本的な」の全ての要件を再び満たす必要があります。
 また、「合実計画」の場合は、計画の進捗状況が計画を大幅に下回っている場合には「合実計画」とは取り扱わないとされています(金融検査マニュアル別冊・検証ポイント5(2)ホ)。
 「合実計画」の要件において、進捗状況が概ね計画どおりであることとは、「売上高等及び当期利益が事業計画に比して概ね8割以上確保されていること」とされているので(金融検査マニュアル・自己査定(別表1)1(3)③イ)、この「大幅に下回っている場合」とは、これらの数値の達成状況が8割未満であるような場合等をいうと考えられます。
 もっとも、「機械的・画一的に判断するのではなく、計画を下回った要因について分析するとともに、今後の経営改善の見通し等を検討することが必要である。なお、経営改善計画等の進捗状況や今後の見通しを検討する際には、バランスシート面についての検討も重要であるが、キャッシュフローの見通しをより重視することが適当である。」とされています(金融検査マニュアル別冊・検証ポイント3(2))。
 したがって、中小企業としては、合実計画の進捗状況が計画を大幅に下回っている場合には、計画を下回った要因を分析して対策を講じ、今後の経営改善の見通しを示すことが必要となります。

今まではリスケ等の金融支援を受けていなかったが、経営環境が悪化して資金繰りが厳しくなったため、今後受ける必要がある中小企業の場合

 この場合は、「実抜計画」を策定するか、策定していない場合であっても1年以内に実抜計画を策定する見込みがあること、の要件を充たす必要があります。

2 これらの他にも様々な類型も考えられますが、以上では、主に想定される類型についてのみ検討しました。

前ページ   4 次ページ