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中小企業金融円滑化法

4 また、金融庁は、金融検査マニュアルと別に「監督指針」(主要行向けと中小・地域金融機関向けがあります)を策定し、金融監督のルールを明示しております。
 この中で貸出条件緩和債権の判断基準が示されており、「過去において債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として金利減免、金利支払猶予、債権放棄、元本返済猶予、代物弁済や株式の受領等を行った債務者に対する貸出金であっても、・・・実現可能性の高い抜本的な経営再建計画に沿った金融支援の実施により経営再建が開始されている場合には、当該経営再建計画に基づく貸出金は貸出条件緩和債権には該当しないものと判断して差し支えない。」(中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針Ⅲ-4-9-4-3(2)③ハ)としたうえで、「「抜本的な」とは概ね3年後の当該債務者の債務者区分が正常先になることをいう。」(同左注2)とされておりました。
 その後この「概ね3年後に正常先」の要件が、「概ね5年(5年~10年で計画通りに進捗している場合を含む)後に正常先(計画終了後に自助努力により事業の継続性を確保できれば、要注意先であっても差し支えない)」(中小企業向け融資の貸出条件緩和が円滑に行われるための措置)にまで緩和されました。
 さらに、金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編において、「債務者が経営改善計画等を策定していない場合であっても、例えば、今後の資産売却予定、役員報酬や諸経費の削減予定、新商品等の開発計画等収支計画表等のほか、債務者の実態に即して金融機関が作成・分析した資料を踏まえ信用リスクを勘案する」(同別冊・検証ポイント5(2)イ)とされました。
5 このような中で、中小企業金融円滑化法の施行に併せて金融検査マニュアル別冊の改訂がなされ、貸出条件緩和債権の判断基準がさらに緩和されました。
 すなわち、「債務者が実現可能性の高い抜本的な経営再建計画を策定していない場合であっても、債務者が中小企業であって、かつ、貸出条件の変更を行った日から最長1年以内に当該経営再建計画を策定する見込みがあるときには、当該債務者に対する貸出金は当該貸出条件の変更を行った日から最長1年間は貸出条件緩和債権には該当しないものと判断して差し支えない」とし、「「当該経営再建計画を策定する見込みがあるとき」とは、銀行と債務者との間で合意には至っていないが、債務者の経営再建のための資源等(例えば、売却可能な資産、削減可能な経費、新商品の開発計画、販路拡大の見込み)が存在することを確認でき、かつ、債務者に経営再建計画を策定する意思がある場合をいう。」(金融検査マニュアル別冊・検証ポイント5(2)ニ)とされました。
 さらに、「計画期間が原則として概ね5年以内であり、かつ、計画の実現可能性が高いこと。ただし、経営改善計画等の計画期間が5年を超え概ね10年以内となっている場合で、経営改善計画等の策定後、経営改善計画等の進捗状況が概ね計画通り(売上高等及び当該利益が事業計画に比して概ね8割以上確保されていること)であり、今後も概ね計画どおりに推移すると認められる場合も含む。計画期間終了後の当該債務者の債務者区分が原則として正常先となる計画であること。ただし、計画期間終了後の当該債務者が金融機関の再建支援を要せず、自助努力により事業の継続性を確保することが可能な状態となる場合は、計画期間終了後の当該債務者の債務者区分が要注意先であっても差し支えない」(金融検査マニュアル・自己査定(別表1)1(3)③)などの要件を満たす「合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画」が策定されている場合には、「当該計画を実現可能性の高い抜本的な計画とみなして差し支えない。また、今後の資産売却予定や諸経費の削減予定等がなくても、債務者の技術力、販売力や成長性等を総合的に勘案し、債務者の実態に即して金融機関が作成した経営改善に関する資料がある場合には、貸出条件緩和債権に該当しない。ただし、経営改善計画の進捗状況が計画を大幅に下回っている場合には、合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画とは取り扱わない」とされました(金融検査マニュアル別冊・検証ポイント5(2)ホ)。
6 以上の結果、現在では、中小企業はリスケを受けても、①実現可能性の高い抜本的な経営再建計画(「実抜計画」といいます。)に沿った金融支援の実施により経営再建が開始されていること、②実抜計画を策定していない場合であっても、貸出条件の変更を行った日から最長1年以内に実抜計画を策定する見込みがあること、③合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画(「合実計画」といいます。)が策定されていること、などのうちのいずれかの要件を充たせば、貸出条件緩和債権に該当せず、要管理先となることを免れることになります。
 なお、これらの措置は、円滑化法終了後も適用される恒久的な措置となります。

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