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中小企業金融円滑化法

中小企業金融円滑化法とは何か

1 正式名は、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」 といいます。
 長引くデフレやリーマンショック後の中小企業の経営不振等による資金繰り悪化等を受けて、平成21年12月に制定された時限立法です。
 当初は平成23年3月末までの予定でしたが、2度期限が延長されて、平成25年3月末が最終期限となっており、予定通り終了しました。
2 法律の内容は、簡単に言えば、中小企業が銀行などの金融機関からリスケジューリング(リスケ。返済猶予などの貸出条件変更)を受けやすくするというものです。
 対象となる中小企業とは、以下のとおりです。
  (1)サービス業 資本金5000万円以下又は従業員100人以下
  (2)小売業 資本金5000万円以下又は従業員50人以下
  (3)卸売業 資本金1億円以下又は従業員100人以下
  (4)その他の業種 資本金3億円以下又は従業員300人以下
 自社が対象となっているか、一応確認してみるとよいと思います。
3 では、リスケを受けやすくする、とはどういうことでしょうか。
 リスケとは、主に返済猶予など貸出条件を緩和する変更を言いますが、これは金融機関からみれば一種の与信といえますので、当然審査が必要になります。
 また、リスケの要請をする企業とは資金繰りが悪化している企業ですから、そういう企業に対する与信ということで審査は厳しく、金融機関は通常簡単には応じません。
 前向きな資金の融資に比べても審査のハードルが高いというのが多くの銀行員の普通の感覚ではないかと思います。
 また、リスケは、法律的にいえば、金融機関と企業との間の合意のみにより成立する私法上の行為ですので、本来、政府がどうこう言って介入する話ではありません。
 しかし、一向に景気回復の兆しがみえないなかで、金融機関がこれまで通りの原則的な対応をすれば、中小企業の資金繰り倒産が急増し、ますます景気が悪化するという恐れがあることから、国が法律により、中小企業がリスケを受けやすくする仕組みを講じているのです。
4 次に、法律の主な仕組みについて簡単にご説明します。
  (1)金融機関はできるだけ中小企業のリスケ対応に努める(法3,4条)
  (2)金融機関はリスケ対応を円滑にできるための体制整備等をする(法6条)
  (3)金融機関は6月ごとにリスケ対応の実績についての説明書類を公開する(法7条)
  (4)金融機関は6月ごとに金融庁等にリスケ対応の実績について報告する(法8条)
  (5)金融庁は金融機関の検査にあたり、法律の趣旨を尊重する(法9条)
  (6)政府は信用保証協会の保証制度の充実を図る(法11条)
  (7)金融機関の法7条、8条違反に対する罰則(法17,18条)
 以上のことからわかるとおり、法律は結局、金融機関に対しなるべくリスケに対応する努力義務を課しているにすぎません。
 それでも、金融庁の発表によれば、この法律施行以降、平成25年3月末の最終期限までの金融機関のリスケ実行率は97.4%となっております。
 申し込めばほぼ確実にリスケに応じてもらえるという状況だったといえ、法律は非常に大きな効果を発揮したといえます。
 件数では、約437万件の申込みに対して約407万件、金額では、約120兆円の申込みに対して約112兆円のリスケ実行となったようです(なお、上記の実行率は、審査中と取下げを除いて計算しているため一致しません)。

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